「学校には婚約者と伝えてる。だから名は東郷にした。」



「そうなんですか…」



そんなこと出来るの?
お金持ちって凄いな…



「…何か聞きたいことないか?」



「え?」



「莱輝の年齢、仕事、年収、趣味、好き嫌いとか」



「あ…」



知りたい。
知りたい…けど…



「莱輝さん…本人から聞きたいです!」



「………そうか。」



「すみません。荻島さんが…親切で言ってくれたのに…本人から聞きたいって変ですかね…?二人で知っていって…それで喜びを増やして…いきたいって思ってるんです。」



「いいよ、その方が。」



「え?」



「にちかは今のまま…綺麗なにちかでいろよ。」



「あ…はい。」



綺麗?何が?



「じゃぁ、俺は仕事が残ってるから…明日は早いですよ。にちかお嬢様。」



「あ、はいっ!わかりました!おやすみなさい!」



明日から学校…か。



環境がまた変わる…



大丈夫…だよね。



東郷…弍智佳。



東郷が私を守る。



私は私を守るんだ…