「変な心配はするな、にちか…俺に好きな奴、とかいつになるかわからないことで悩むな。時間の無駄だ…」
そう言って莱輝さんは私の頭を撫でた。優しい手が…今は落ち着く。
「莱輝さん…本当にいいんですか?」
「あぁ…今日のパーティーでお前は東郷の人間として、財界の奴らに示すことが出来たし…」
「はぁ…」
「お前は東郷だ、もぉ室井ではない。」
「わかってますよ?」
改まって…何?
「だから、電話しろ。最後の電話だー。」
と言って渡されたのは…私の携帯。
「これ、」
「最後に家族へ挨拶をしろ。俺の前で。お前は東郷の人間だ、と家族に言うんだ。」
「えっ?」
嫌だー私は…莱輝さんの婚約者…だけど、そんなのいつまでか、なんてわからない。
ずっと東郷の人間ではないのに…室井を…家族を捨てる?本気で?今………
そんなの………