「ふー」とため息をついてベンチに座った神風は部室全体をキョロキョロと見渡していた。
「なんか久しぶりな感じがする…。みんなは?もう帰ってた?」
「まだ練習してるよ。」
「って事はよっぽど大事な用なんだね。永谷が練習中断してまで、おれを呼ぶって事は」
「…野球部に戻ってこないか?」
問い掛けたのが間違いだったのか…、神風はオレの方をじっと見てきた。
そしてパッと笑顔になり口を開いた。
「何言ってんだよ。おれはもう野球辞めたんだぜ?」
「まだ未練ありありだろ?」
「それは…」
なぜ素直になれない?未練があるならいいじゃないか、それで。
まるで自分を見ているようで、無性に腹が立った。