マウンドで足場を慣らし、バッターボックスを見つめる。
左打席に入り、こっちを見ているアイツはニヤリと笑った。
…自信満々かよ。
大きく両腕を上げ、グッと足を胸元に引きつける。そしてムチのように体をそらし、そのまま全部の力をボールに込めた。
「…手加減なしか。ふーん意外にアツいんだね、永谷君って。」
「ワンストライクですよ」
キャッチャーからボールを受け取り、また投球モーションに入る。
こんな奴に変化球なんか投げる必要ないな…。
直感的にそう感じたオレは、一番得意なコース…真ん中高めに思いっきり投げ込んだ。
---カキン。
女とは思えないほど上手い体重移動で、綺麗にボールは飛ばされた。
衝撃のあまり、ボールを見ることができない。
この打球に見覚えがある。
この打球は………。