「オレは無理です。…甲子園が決まってるのに休むなんて出来ません。」

オレの言葉を聞くと、ニコッとして再び話し始めた。


「やっぱり似てる~。永谷君と颯太。颯太も休まず影でずっと投げてたわ。」

「でもあなたは、その人を止めなかったんですか?野球出来なくなるかもしれないのに。」


「所詮、あたしは甲子園に立てないからね。そんなあたしが言ったって効果ないでしょ?」



この人を見てると、まるで神風を見てるようだった。


「結局、最後まで投げきった。まあ最後の方は気力とチームメイトのお陰だけどね。でもその代わり、颯太は野球を失ったの。」



「…肩、ですか」


「うん。二年間のドクターストップで残りの高校野球人生をすべて棒にふったの」