突然、彼氏の話をし始めた。
ここの野球部卒業生ってこともあり、投球練習を止めてベンチへ腰掛けその人の話を聞くことにした。
「…そいつさ、明らかに投げ過ぎで肩痛めたのに、それでも投げ続けたんだ。甲子園予選決勝戦までさ。」
「もしかして、その人っすか?甲子園優勝ピッチャー。」
「まーね。でもそいつは野球を楽しんでなかったんだ。"ある人"を甲子園に連れて行くことしか考えてなかった」
「そいつね、予選で脇腹に打球が当たったりしていろいろあったけどなんとか甲子園出場を決めたの。でも、二週間の投球禁止。」
そこまで話した後、不意にオレの目を見て突然聞いてきた。
「もしキミが彼の立場だったら、どうする?投球禁止を素直に受け止められる?」