確かに、そうだ。
嶺北高校は過去に一度だけしか甲子園に行ってない。それでもオレがこの高校に来たのは、オレ自身が甲子園に行きたかったから。
仲間の存在とか、信頼関係とかそんなものに頼らずに甲子園行きたかったんだ。
「オレがいたら甲子園に行けますから、絶対に。」
そう言い放ち、給水ボトルを手に取る。冷たい水が渇き切った口を潤した。
「キミさ、今まで人を信用したことないでしょ?」
「ええ」
「あたしの彼氏もここ出身なんだけどね、そいつもキミみたいな感じだった。」
「…それが何か?」
「そいつね、高1の甲子園の夏の予選で投げ過ぎて肩痛めちゃったんだ。」