『じゃあ、野球はいつから?』

「小学生のときから」


『なんで嶺北高校に?』

「推薦が来たから。一応、特待生っすから」


さっきから、どうでもいいような質問ばっかりしてくる。

話ってこのことか?


『じゃあ…今、大切な人は?』

「居ます」


『それは悠弥のこと?』



すぐに「はい」と言えなかった。

見ず知らずの人に言えないという思いが、強すぎて。


『俺は、悠弥のこと大切に思ってるよ。泣いてる姿だって、見せない』



大和のときと同じだ。

自分の気持ちよりも先に言われてしまった。