ベンチに帰っても、空気が重い。

みんなが口々に、いろんな奴を貶しているのだから。


「おい、大和。お前それでもピッチャーかよ。あの一年にレフトまで飛ばされやがって」


大和のことを悪く言う奴に、みんなが「そうだ」と便乗する。


「でも結果はレフトフライだろ。ヒット打たれたわけじゃないんだから、別にいいじゃん」


「よくねーよ。そんなんでよくピッチャー出来るな。…永谷先輩の弟だからって、調子乗るんじゃねーよ」



今のこいつの言葉、オレが許さねえよ…


そいつに近寄ろうとするオレを、悠弥が手で止めた。