「…ごめん、たいしたことじゃないんだけど。…やっぱいいや」


「あ…悪い、人違いだ。何か用事か?」

「新入部員を階段ダッシュさせようと思うんだけど…誰を監督するかなーって」


「二年で適当に出せば?」

「うん。あとさ…」


まだ何かあるのか?

「俺も永谷って呼ぶよ。ごめんな、今まで名前で呼んじゃって」


「はっ?」



悠弥の言葉に思わず持っていたボールを落としてしまった。


「さっき聞いたんだ。嫌なら言ってくれたら良かったのに…」



な…なに勘違いしてんだ?

オレがいつそんなことを……


「ちょっと待て。何も言ってねーぞオレは。なに言って…」


「あと、必要最低限のこと以外は喋らないから。じゃあ、監督は二年にやらせるよ」