「悠弥さん」

「ん?」


あんまり真剣な顔で見てくるもんだから、思わず目をそらしそうになった。

「俺、来年高校生になるんです」


「この前の全国大会決勝、凄かったな。強豪校から推薦来るんじゃね?」


「俺、嶺北に行きます」

一瞬耳を疑った。


「嶺北で悠弥さんとバッテリー組みたいんです。…俺の球、受けてもらえますか?」


決勝戦の大和くんの投球は、本当に凄まじかった。気迫のこもった投球に、闘志を剥き出しにして戦う姿勢。

永谷の弟だと聞いた時、正反対だなと思った。



「…俺、そのためにめちゃくちゃ努力します。だから………、一緒に甲子園、行きましょうね!!」


力強く言い切って、部屋から出て行ってしまった。