スッと横から何かが出てきて、そのままオレがゴールテープをきる事はなかった。


「神風悠弥、起死回生の一位でゴールしました!!」

アナウンスされ、ようやく理解できた。


…神風なのか?

最下位でバトンを受け取り、体調不良の神風に負けたのか?


目の前で倒れ込んでいる神風を支え起こすと、くしゃくしゃの顔で笑った。



「勝った~。」

「ああ、負けたよ」


「約束は守っ……………」



神風はその場から動かなくなった。

…こいつ、スゴい熱。


異変に気付いた西条が走ってきた。

「お、おい、神風!!」


「気を失ってるだけだ。熱あんのに無理するからだよ。みんなが気付く前に家に送ってくるからお前は上手く嘘ついて誤魔化せ。」

「…わかった」


体育祭の事は西条に任せ、オレは神風を背負って学校を出た。