触れられる度、敏感に感じる自分自身。
愛が無くても、平気だった。

平気なのが、悲しかった。


好きだったら、彼女が起きるまで抱き締めて、温もりを感じていたいと思う。

――…あいつだったら。



俺はベッドを出た。

ぐっすりと眠ったままの先輩を残して。
先輩が起きた時、どういう風に接したら良いか、わからなかった。


労ったり、優しい言葉をかけたり、愛を囁いたり……。


それらは全部、嘘になりそうで。


俺は逃げた。