黒澤くんの口振りから、きっとその人は白虎じゃないと思う。

けど地元の人間でもない。




過去の知り合いで私を心配するような人、いない筈なのに。






「頼まれてん、その人に」


「何を?」


「その噂が本当かどうか確かめてくれって」






じゃあその話が本当だとすると、黒澤くんは。

その人に言われて…。






「噂は俺も知ってたから簡単に引き受けた…けど、」


「けど?」


「ゆいちゃん近寄るなオーラ出しすぎて、なかなか難しくて」






ははっ、と笑う黒澤くんの声が公園に響く。

私は逆にきょとん、としていて。






「俺結構近くにいたのに気付かへんかった?」


「?いや、全然」


「まぁゆいちゃんから声掛けてくれて嬉しかったけど」







私と黒澤くんが始めて喋った日。



確か黒澤くんが赤ペンを忘れて、私がそれを貸して。

それでその時私は黒澤くんが隣の席だって知った。





でも彼は、








「俺は隣が華風さんって知ってたけどな」







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