素朴な疑問を彼にぶつける。



私には分からない、黙った意味が。



過去にあったギャル軍団事件の時は、隊員が黙っておくように念を押してくれたから大丈夫だったけど。

黒澤くんはそんな事されていない。






「なんとなく言わへん方がいいかなって」


「……………」


「水嶋も知ってるんやろ?ゆいちゃんの事」


「うん」


「せやし、水嶋が黙ってるって事は俺等も黙った方がいいと思ったから」






これでいい?と笑顔で聞かれ、私は何も返事をしなかった。



以前の私なら、きっとありがとうと言っていた。

けど、今は黒澤くんが分からない。




噂を聞いて私に近付いたと言ったくせに。

じゃあなんで今そうやって守ろうとすんの?







「それじゃ、そろそろ俺の話していい?」






中身が無くなった缶コーヒーを地面に置く。

私の貰ったミルクティーは少しぬるくなってしまって。







「俺がゆいちゃんに近付いた、本当の理由のね」







大きく、風が吹いた。










.