ずっと校門で待っていたのか、黒澤くんの足元にはタバコが数本落ちていて。

まだ吸いかけのタバコを地面に落とし、私に近付いてきた。






「ちょっと時間作れる?」





控えめに声を掛けてきて、その表情は心なしか固い。



いつものように無視すればいい。

私達は知り合う前に戻ったのだから。






「嫌、って言ったら?」


「話聞いて貰えるまでストーカーする」


「警察呼ぶで」


「じゃあ拉致」


「……………」






でも何故か断る気になれない。





話だけ聞いて、さっさと帰ろ。

これからもまた話しかけられても困るし。






そう理由をつけて自分を正当化させる。







「ちょっとだけやで」


「ありがとう」







ちょっと、話を聞くだけ。







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