顔を上げると、そこには困ったような表情の龍。

依然私の頭には龍の手があって。




これじゃどっちが先輩か分からない。







「龍、聞いて」


「はい」






汚れ一つない綺麗な特攻服を掴む。







「昨日龍は間違ってなかった」


「え?」


「悠介くんな、うちの変な噂信じて近付いて来ててんて」


「…は?」


「簡単に信じたうちがアホやってん」


「ゆいさん、」






痛い、痛い。

心が痛い。






「三年前と一緒やわ」







きっとこういうのを空元気、というのだろうか。




笑いたくないのに笑えてくる。

裏切られた自分が滑稽で。





そんな私を、







「――――っ、」







龍は抱き締めた。








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