「大丈夫か、璃依」




屋上に連れてきた璃依を気遣って声をかける。


うつむいたままだが、わずかにこくんっ、と頷く。



「そうか」


少し、ホッとした。



「ねぇ、森崎」


「ん?」


「いつも意地悪ばっかしてたくせに、なんで今日は助けてくれたの?」






俺、そんなにいつも意地悪ばかりしてたか?


そりゃ、こいつの反応が可愛いからついからかってしまうことはあったが…。



こいつが困ってるときは助けてたつもりだったんだけどな…。



体育祭のときとか。



その他、こいつは気付いてねぇが、色々やってきたつもりだ。



こいつに近づこうとする野郎をシメたり、体育祭のときに絡んでた先輩どもにあのあと釘を差したり、色々と。



とは、口に出して言えるはずもなく。



ただ、なんとなく…とだけ言っておいた。