すぐに気付いた?



どうせ、ボコボコにしたあとだろうが。



馨のことだ。ここぞとばかりにストレス発散のため相手をボコボコにしたに違いない。




「お前は男にモテモテか。俺に似ているなら女の子にモテるはずなんだけどなぁ」



「お前みたいな女好きと一緒にするな。」



ぴしゃりと言い放せば、馨は少し肩をすくませた。



「あーあ、反抗期か。昔は可愛かったのに。よく、『お兄ちゃん、大好き!』って言ってくれたじゃねーか」


「な…!そんな昔の話を引っ張りだすな!!」



「それに、『僕、大きくなったらお兄ちゃんと結婚する!』って言っ…」




「言わねぇよ!!」




こいつの悪ふざけには付き合いきれない!!


なんで男同士でそんなことを言わなきゃならない!!


「ははっ。そう怒るなよ。冗談じゃねーか」




くそ兄貴…!




悔しいが、こいつは俺より一枚も二枚も上手だ。




勝てたことなど、一度もない。