【この会社って…ー12】




世の中には似た人が
2人は居ると言う。






だからこの人達も
その部類に入るかも
しれない。







確か
こんな様な人
過去に居た気がして
ならない。




前にどっかで
見たことあるような…







まあ
そんな気がするだけかも







気にせず
礼子は話を進めた。






「アンタ達は
ここの社員?」







そう言うと女は
自分の口に手を当てた。







「まっ
失礼な子ねえ~。

こんな美しい泥棒がいるかい?

ちゃんと三光の社員さ」







言うてもこの女
そんなにかわいくない。







だが、
本物の社員であるのは
確かなようだ。







それぞれ胸に
ネームプレートが
ついている。







なになに…






よく見ると
ネームの名前の横には
自分達で書いたかと
思われる付け足しが
書かれていた。







「黒根」(くろね)
市民共に
平和と薔薇の音を







「子右近」(こうこん)

私の美貌で石になれ






「富居矢」(ふいや)

マッチ一本火事の元
でも火は好きです







それぞれが
キャッチフレーズ
みたいのがあって、

キモい。







「今アタシ達は
社内のサークルで
ミュージカルを
やってるんだよ。

あんたもどう?」







ズン♪ズン♪ズン♪






子右近は踊り出している







「いえ結構です」







礼子は久しぶりに
まともな敬語を喋った