【この会社って…ー5】




「ちょっと
話は長くなりますが…」







「え~めんど」







礼子は
鼻くそをほじくりながら
ダルそうに言った。






「コラ!

礼子君
ちゃんと聞きなさい!

人に話を聞く態度じゃ
ないでしょ!」







オッサンがそう言うが
三山は気にせず答えた。







「大丈夫ですよ。
話はなるべく省略して
話しますから」







あ……

この霊、
口うるさくない…







礼子はオッサンと比べ
口うるさくないことから
素直に聞くことにした。







「どーぞ」







大人しく聞くことにした
礼子の合図に
三山は話を始めた。






「…私はこの会社の
社員でした…

でも『ある事』が
きっかけで、
私は会社に
負債を抱えてしまい、
この窓から
身を投げ出しました…」







つまりは自殺…







そうして霊界に行き、
生き返ることを拒否し
自縛霊となったのだ。







「…それで霊になり
いつものように
会社を見上げ
社長室に行こうとしたら
アナタに出会ったんですよ…

えっと礼子さん
でしたっけ?

名前はサキさんから
聞きました」








初めてこの霊を見かけた
あの日だ。







「見た目は
人間でしたから
まさか私に話しかけてる
とは思わず、
無視して
会社に入りました…

そうしたら驚くことに
あなたは幽体離脱をして
私を追いかけて来ました

だけど『狭間の壁』に
遮られ、
あなたは吹き飛ばされて
しまったんです…

私は自縛霊…
あまり人と関与したく
ないので
私はそのまま
行ってしまいました…」