指輪だけ。


「あれ」


でも、微妙な変化があった。


花びらの紋様が彫られていた。風に乗ってちるような綺麗な紋様だ。


「ラグナ、これ」


「意味を知る必要はない」


それ以上は答えてくれず、なんだよーとこちらはむくれっつらになるが、フィーリアの笑い声ではっとする。


「彼には彼の考えがあるのよ。でもいつか絶対に分かるわ。だって、坊やは彼のパートナーなのですから」


にっこりとした綺麗な女性が、光に包まれる。


足元から半透明になっていき、徐々に上へ。


帰るんだ、とはすぐに分かった。


「ありがとう。ラグナレク」


「恙無く暮らせるように祈ろう」


「ありがとう。坊や」


「じゃあな」


「召還者として力量がついたなら、いつか私を呼んで下さいね。力を貸すぐらいなら惜しみません」


「おう、いつか、またな!」