真っ先に思いついた――いや、思い浮かんだのがあった。


クリア。
泣いたままだったなぁと思い出し、なら自然と。



“元気になりますように”



なんてちっちゃな願いが出てきた。


それでも願いごとらしく、蓮の花が散ってしまう。


ふふ、と笑うフィーリアは俺の願いを知っているのか。


「優しい坊や。お花はきっとあなたの願いを叶えるわ」


そう言われちまったからなんとなく照れてしまう。


そういや、ラグナはと見れば、花はそのままだった。


確か、奴には願いがない。


だから願うことすらも思いつかないんだろう。


しばらくして、ラグナが花を握りつぶした。


「おまっ、せっかく貰った――」


「指輪」


「へ?」


「指輪を貸せ」


俺が持っている指輪は、女神様との絆と言われる奴だけだ。


渡せばラグナは花を握りつぶした手の中に指輪を混ぜた。


ぎゅっと握ったあと、ぽいっと俺に指輪が返却された。