一声で冬を呼び出すような声は、夜空の王が怒っているせいなんだろう。


きっと無表情、でも、知っていた。


『必ず、君を奴から解放しよう』


一番、誰よりも怒っていたのは――


「ぎ、ぎゃああっ、ぐ、ぎ、ぎ!」


血に濡れた鎌を持つラグナだと。


ジャラシーの耳タブを削いだラグナに怯え、思わず俺は離れた。


馬乗りになっていたが、血が飛んできたのを見て地に尻餅をつく。


痛みが初めてだったか右耳を押さえながら痛い痛いと、転がるジャラシーはだだをこねる子供以下にみっともなかった。


だから、子供をふみつけて制止させるラグナの行為は行き過ぎたしつけ。


もうこんなことをするなと。



「次は右目だ。宣言しよう、フィーリアとの縁を切るまで、俺は貴様の体を切っていく」