ふるふると刃先が震えて、その向こうにはおっかな顔のジャラシーがいた。



『そんなことをする前に、家族に会いたいのです……!』



戻りたい。
ずっと帰れない我が家に帰りたい、と泣いた人がいた。


その人のために動こうと決めた俺たち、俺が一番重要な役だと言われてそれはもう済んだ。


死にたくなければ、フィーリアとの縁を切れ。


言い切った、叫んだ。

横目でちらりと見れば、あちらのお芝居(戦い)はもう終わっている。


「な、なあにやってんだっ。フィーリア!フィーリアぁぁ!早く助けろよ、っ、この!」


鎖を出し、またフィーリアを苦しませる男。


この、と一発殴ろうとしたが。


「動くな」


ぞわっ、と背中から腹にかけて凍結した気分を味わった。