「するとは思ってないが、持ちたいとは思わないか。傷つける云々はともかく、命令することはできるが」


「傀儡なくても、命令――いや、してほしいことなんか相手に言える。いらんっ、絶対。

ついで、俺がお前にしてほしいことは。――もう、俺を見くびるんじゃねえぞ」


「……、了解した」


ラグナが剣を俺に渡し、通り過ぎた。


いきなり渡された剣。先ほど同じ代物で。


「あれ……」


別物かと思った。


持てた。片手で。


あれほど重かったのにと、剣を鞘から抜こうとし。


「やめろ」


止められた。

柄を持ったまま制止する。


振り返れば、扉を半開きにするラグナが少し眉ねを寄せて俺を見ていた。