小さなデク人形。でも髪の毛はやして、首に銀のワッカがはめてある不可思議な人形だ。


指差し言えば、ラグナはしれっとした顔で。


「君だ」


「はい?」


「遅いから俺は君が逃げたと思った」


「逃げねえし」


「遅かったのには変わりない。遅すぎるという不安から俺はある対処をすることになった。

君が遠くまで――俺との距離が離れぬ内に、のろ……いや、結局やらなかったことだ。言っても仕方がない」


ラグナがデク人形の髪一本を抜く。一本抜いただけなのに、ふさふさだった頭は後追いするように一気に抜け落ちて、銀のワッカも外れて。


「いっ」


なぜか、俺の頭が痛んだ。まさに髪の毛を一本抜かれたような感覚。


なんだぁと頭を触るが異常はなくて。ラグナを見れば。