「ギブアップって言えないの?」
「いや、言えっけど。言えないんだよ」
「じゃあ、戦わなきゃいけないコッ君に、怪我をしないようにお守りをあげる」
と、クリアは自分の後ろ首に指を回した。
さらさらの金髪が動き、首から離れた指にはネックレスがあった。
チェーンに指輪を通した形のネックレス。
質素なチェーンにしては、指輪は豪華なものだった。
赤色の宝石が埋め込まれている。ガラス玉か本物か、渡された指輪をじっくりと見る。
「女神様が記念に、って私にくれたの。一度でも縁があるなら忘れないように、物に思い出を残そうって。
あとできちんと返してね。私の大事なものだから」
「いいのか、大事なのに」
「今、お守りが必要なのはコッ君だから。怪我しないでね?また一緒に勉強しよう」
指輪を握り、おうっと拳を出す。
虚をつかれたクリアでも、分かったようにくすりと笑い俺の拳に自分の拳を当てた。