頷きながら、フードがめくられた。


幼いくりっとした目が見て、やっぱり女の子だと思う。



「妖精かくれんぼって、知ってる?」


「ああ、確か。おとぎ話だよな、残酷系の。妖精が森に迷い込んだ人間と遊ぶんだ。

人間は見つけ役、妖精が隠れるわけだが……。妖精全部を見つけるまで、絶対に森から出られない話」


「うん……。ちょっと違う、おとぎ話じゃない。実際にあるんの、妖精かくれんぼは」


「……、まさか」


「私は五歳のとき、三週間、お家に帰れなかった」


背筋に寒気が一本。


三週間も帰れなかった。五歳の子供が?森で?食事も、雨風を凌ぐ家も、助けもこない森の中で。


「っ……」


無意識に奥歯を噛んだ。



「なんだよ、それ……」


「……。コッ君はやっぱり優しい。大丈夫、妖精かくれんぼは私が最後なの。もう妖精たちはかくれんぼをしない、女神様に怒られたから」