「出るんだよ、試合に。――い、いてて」
頬をつねる奴の手を払う。
「寝言は寝てからいいやが、れ?」
「うろ覚えのセリフを使うなっ。起きてんよ、正気だ。俺は今日の挑戦者だ!」
「……、コッ君じゃあの人出せない」
落胆するように頭を下げるクリア。
怒りペースだった頭が、クリアと一緒に落ちていく。
さっきから、捜してるのって。どうもクリアはこの場所で人捜しをしているみたいだが。
「……、どんな奴なんだ。俺も一緒に捜してやるけど」
「簡単には見つけられないの。その人は女神様だから」
「は?」
「この世界に女神様(あの人)はいないの。だから、強い召還者が集まるこの大会には毎回挑戦者があるたびに来てるの。
もしかしたら、挑戦者(その人)が女神様を召還するかもしれないから」