* * *
さあて、っと。
辛気くさくぼろくさい建物を抜ければ、緑が目に付く。
裏口から出てきたのであたりには人がおらず、さあてとと賭け場に向かう俺に。
「ぐべっ」
背中からタックルを受けた。
…………。
思考停止。いきなりすぎて、転倒をし、雑草が鼻の穴に見事に入ったところではっとする。
「ぶっ、んだよいったい!」
土で擦った頬をこすり、タックルされた方向を見れば、小柄な人影がいた。
何を考えているか分からない。眠そうで、脱力したような眼差し。そうして今宵の月並みに綺麗な金色の髪をした。
「クリ、ア」
「…………、こんばんは」
俺と同じ生徒たるクリアが右手あげて挨拶してきた。
ずいぶんとみすぼらしいぶかぶかの羽織ものを着ていたが、その中は制服で小綺麗なものだけど。