「そんなに強いのか、これから戦う奴って……」


「三人と戦う。一人目、ダーウィン。大概の挑戦者はここで降参宣言をする。なんでも、見ただけでかなわないと感じるとか。

二人目、ブロッサム。戦えば必ず死ぬらしい。骸すらも残さず、跡形もなく消されるそうだ。

三人目、ジャラシー。こいつについては情報なし。何せ、三人目までたどり着く挑戦者はいないからな。

まあただ、ジャラシーの召還物は出ただけで観客すべてを圧倒させるとは聞いたが」


「お前、本当に勝てるのか……」


「勝負において百パーセントはないが、限りなく百に近い状態だ。もっともそのためにしばらく、体の“調律”に入りたい」


「調律?」


「この世界でより戦いやすくするために、身の内の魔素の流れ――俺はもはや、血液自体に魔力が含まれて、細胞単位も魔の毒で犯された魔導師だが……ああ、いや、悪かった。君に説明しても分かるまい。

本番前、いい音色を出すためにピアノも調律をする。それと同じだ、限りなく近い百を、さらに確実たる百にするために一人で集中したいんだ」