ラグナが皮袋を俺に投げた。どさりと音がする、中身は紙切れ――でも価値の根本たる金がつまった皮袋。


「持ちすぎるな、必要な分だけでいい。君の優しさに見合った強さを持ち、そして――」


ラグナはもう何も言わない。俺が、そしての続きを分かっていると察したんだろう。




ラグナと俺の思考は“真逆”ながら似ていた。


コインに裏表があろうとも、“一枚の物”でしかないように。



ラグナは全てを見過ぎて理想を見た。

俺は視野が狭い中で夢を見た。



魔術師ならばわきまえろ。

誰かを傷つけることは、自業自得として返ってくる。





ああ、ならば。

“こちらがお前たちを傷つけないためにも、傷つけないでほしい”