傷つけ合う、その言葉がやけに後を引いた。


「……、べつに、傷つけたくて傷つける奴だけじゃねえだろ」


「……」


「傷つけたりするのだって、きっと深い理由がある奴だっていんだ。

――お前がよく分かってんじゃねえの?」



ラグナが俺から視線を外し、椅子に座る。


ぎしりと音がなった後は静寂。俺はラグナを見ているが、ラグナは剣を見ている。


「俺は……君が思っているほど優しくはない。深い理由……?クッ、理由か。他人を、まったく知らない他者を傷つけ、殺すのに深い理由なんかない。

殺されるから殺す。もしくは邪魔だったから殺す、だ。これ全て、俺は誰かを傷つける知識を持ったため。持ちすぎたんだ、俺は。だから、君は――」