重みが邪魔だ。

両腕で持っても、歯を食いしばっても、鞘から抜くのさえも難しく。



「見ていられないな」


ひょい、と剣が奪われた。


ラグナだ。

片手で――それこそ、使い慣れた武器のようにあの重かった剣を奴は。



「けっ、へえへえ。どうせ俺は剣も使えねえよ」


自分でも幼すぎる言い方だが、悔しいからこんな言葉。


剣はやめて短剣に目がいくが。


「剣の扱いなど君は覚えなくていい。……戦える知識を身につけるとは、その分、体に傷を増やすのと同等だからな」



「は?なにそれ」


「無知は罪だが、要らぬ知識を増やして痛い目を見ることもある。一つが戦う知識、なぜ人間は傷つけ合う知識を持つのだろうな」