部室から離れてしばらくしたら彼が足を止めて
あたしの方を振り向いて
「もう泣くなよ?泣き虫。」
「なっ・・・泣き虫じゃない・・です。」
うつむきながらいうと
クスっと笑って頭にぽんっと手をおくと
すたすたと歩き出していた。
あっ・・・あたしあのひとの名前も聞いてない
後ろ姿を追いかけてがしっと腕をつかんで
「あのっ・・・なまえっ教えて?」
「ん?・・・葵。木崎葵。」
「・・葵くんかあ。葵くんさっきはありがとう。」
「ん。気にすんな。」
「あっあたしは水城あゆみです。」
「ん。わかった。もう我慢して泣くなよ?」
そう笑った顔にキューんとした。
「なっ・・泣かないもんっ。」
そう真っ赤になりながらゆうと
くすくす笑ってまた頭をぽんぽんやられて
葵くんはあるいていった。