私はお弁当の入った紙袋を渡す。お兄ちゃんは花柄の紙袋に引き笑いをした。

『ぷっ……ははっ! 遼が、っ花柄!』

『将樹……悠まで笑うな』

 豪快な笑いっぷり。
緊張も何もかも飛んでいってしまった。


『もういいだろ将樹! 悠ももう教室に戻れ。授業が始まるぞ』

 壁を叩いてまで笑い続ける──お兄ちゃんが“将樹”と呼んだ──先輩に、ついに雷が落ちた。


けれど、気にした様子もなく。

『君の名前、教えてよ?』

『将樹!!』

 先輩は、笑い泣きの瞳を私に向け、そう言った。