女がティッシュで作ったもの。

それは……。


「てるてる坊主、閻魔大王ばーじょん!」


雨が降らないように祈りを込めて作るアイテム。

なぜ閻魔大王バージョンと言うのかは謎だけど……。



「これで雨止むよ!」


自信満々な表情で、そう先パイに向かって言う女。


「それはないだろう……」

「なんで? これ、結構効くんだよ? 小学校の遠足、これで大丈夫だったもん!!」


否定の色を示した先パイに対して……不思議そうな表情で大丈夫だと力説する女。


小学校の遠足? そこ?

先パイは、一生懸命に説明をする女をクスクスと笑いながら見ていた。



「なんで笑うの~~!? 絶対に止むんだからっ!!」


笑われたことが悔しかったのか、ムキになる女に、先パイは一言。


「バーカ」


と、言って……。



――ちゅっ



一瞬だけ、女の口にキスした。


瞬く間に、女の顔が真っ赤に染まる。



生ちゅー……初めて見た……。

―――じゃなくって!!

キスを先パイからするってことは……あの女のこと……ホントに好きなのかな?

ウソ……女が強引に迫ったから付き合っているんじゃないの?


「な、なんでキスするの!?」

「ん? したくなったから。悪い?」

「なななな……!」


女は……よほど恥ずかしかったのか、口をパクパクさせて日本語をしゃべれなくなっていた。