昨日は、家に帰り、特に急いでするという仕事もなく。

少し休憩してから、今日の分の仕事を始めようと思っていた。

制服を脱いで、ベッドに寝転んでいた時だった。


――プルルル……


秘書からの着信を知らせる機械的な音が部屋に流れ、面倒くさいと思いつつも出た。


≪あ、社長ですか?≫

「俺以外に、この電話に誰が出るって言うんだ」

≪そーですね……失礼致しました!≫


電話の相手は、北原という秘書。

まだ若いんだよな。

ちなみに男だ。

少し前まで女の秘書が俺についていたが、色仕掛けが仕事の邪魔になるので……交代させた。


≪今、お時間はよろしいですか?≫

「あぁ」


……面倒であるが。


≪えっとですね、会議が急きょ入りました≫


電話口で、手帳でも見ているのか……カサカサと紙の擦れる音が聞こえる。


「いつ?」


この時は、まさかあの日だとは思っていなかった。


≪えっと! 14日です!!≫


……はァ?


「もう一度言え。聞こえねー」


聞き間違いだと思い、催促する。


しかし、聞こえてきたのは―――……


≪社長、14日の午後3時より重役会議を行います≫


悪夢とも思えるようなこと。