『殴るぐらいなら、違う痛みを与えてやるよ。』



そう言って、唇は落とされた。


それは容赦なく。
アタシが息も出来ない程に。



「んっ…せ…じっ。」


『黙れよ、舌噛むぞ。』



何か言おうとするけれど、言葉は全て誠二の唇に吸い込まれて行った。


キスの波に飲み込まれて、反論する力も失いかけた時、誠二の唇が首筋へと移った。


ビクッと震える身体が恨めしかった。


震えるのはただの反射なのにっ、どうしてまた誠二に噛まれた跡が疼き出すの?


誠二の唇がアタシの首筋を丹念に舐める度に、傷跡が熱くて疼いて堪らない。