−白百合学園高等学校入学式
ピンクの綺麗な花で飾られた木の下で
看板の文字を静かに見つめた。
「今日から高校生か。」
独り言を言ったつもりだったが意外にも返答が帰ってきた。
「そうだよ!もう高校生だよ!」
振り向くと、もうすっかり顔なじみになった親友の真乎(まこ)の姿があった。
そう。
うちの学校はいわゆるエスカレーター式というやつで、高校入学と言ってもメンバーは変わらないし、制服もリボンが紺から深い緑色に変わるくらいで新鮮味がないのだ。
だから入学式と言っても、新しい生活が始まる感じは全然しなかった。
そんな私の気持ちを察したのか
真乎が元気よく励ますように背中を叩いた。
「ほーら!入学式なんだからもっと爽やかな顔しなよ!校舎は変わるんだしっ、まぁ近いけど・・・、あとほら!先生もどんな人がいるのか楽しみじゃん!」
何でこうも元気なのかわからない。
真乎はいつだってそうだ。
笑顔が絶えなくて元気満タン!って感じ。
たまに疲れないのかと心配になる。
まぁ、そんな真乎に助けられることも多いのだが・・。
「また一緒のクラスだといいね。」
私の返答に満足したように真乎は講堂に向かって歩き出す。
風に舞うピンクの花びらを綺麗だと感じ、
入学式も悪くないなと一人で勝手に納得して
真乎の後を追った。
「はぁ〜疲れたぁ〜。」
帰り道。
真乎が鞄を持った手をぶんぶん振りながら前を歩く。
私から見たら物凄く元気そうだ。
相変わらずな真乎の姿にフッと笑顔がこぼれた。
「あ、何笑ってるの〜?」
真乎が後ろを振り向いて不満げな声をあげる。その不満げな表情がすぐに優しいものへと変わった訳は
次に発せられた言葉からわかった。
「でもほんとよかった。紗奈(さな)が笑ってくれるようになって。一時はどうなることかと思ったよ。」
真乎の言葉で中学2年生の時のある事件を思い出した。
もうあれから約2年も経つのか…
中学1年の春。
期待に胸を膨らませて
この白百合学園に入学した私、吉碕(よしざき)紗奈。
ピンクの綺麗な花で飾られた木の下で
看板の文字を静かに見つめた。
「今日から高校生か。」
独り言を言ったつもりだったが意外にも返答が帰ってきた。
「そうだよ!もう高校生だよ!」
振り向くと、もうすっかり顔なじみになった親友の真乎(まこ)の姿があった。
そう。
うちの学校はいわゆるエスカレーター式というやつで、高校入学と言ってもメンバーは変わらないし、制服もリボンが紺から深い緑色に変わるくらいで新鮮味がないのだ。
だから入学式と言っても、新しい生活が始まる感じは全然しなかった。
そんな私の気持ちを察したのか
真乎が元気よく励ますように背中を叩いた。
「ほーら!入学式なんだからもっと爽やかな顔しなよ!校舎は変わるんだしっ、まぁ近いけど・・・、あとほら!先生もどんな人がいるのか楽しみじゃん!」
何でこうも元気なのかわからない。
真乎はいつだってそうだ。
笑顔が絶えなくて元気満タン!って感じ。
たまに疲れないのかと心配になる。
まぁ、そんな真乎に助けられることも多いのだが・・。
「また一緒のクラスだといいね。」
私の返答に満足したように真乎は講堂に向かって歩き出す。
風に舞うピンクの花びらを綺麗だと感じ、
入学式も悪くないなと一人で勝手に納得して
真乎の後を追った。
「はぁ〜疲れたぁ〜。」
帰り道。
真乎が鞄を持った手をぶんぶん振りながら前を歩く。
私から見たら物凄く元気そうだ。
相変わらずな真乎の姿にフッと笑顔がこぼれた。
「あ、何笑ってるの〜?」
真乎が後ろを振り向いて不満げな声をあげる。その不満げな表情がすぐに優しいものへと変わった訳は
次に発せられた言葉からわかった。
「でもほんとよかった。紗奈(さな)が笑ってくれるようになって。一時はどうなることかと思ったよ。」
真乎の言葉で中学2年生の時のある事件を思い出した。
もうあれから約2年も経つのか…
中学1年の春。
期待に胸を膨らませて
この白百合学園に入学した私、吉碕(よしざき)紗奈。