そして不気味なくらい、にっこりと坂井が笑った。

「ってかね。もう今日の午後ここに来るように言ったから。」

「は?」

???

まるで犬を預けるような、その坂井の言葉に、
俺は一瞬わけがわからなくなった。


「私、明日の準備で家に帰れないから。
 今日からよろしくね。じゃあ、私これから仕事だから。」

「おっ、おい、ちょっと待てよ。」

思えばこの時、もっと冷静になって坂井を止めていれば良かった
のかもしれない・・・。

もう、遅いが・・・。


坂井はそう言って、
俺の反論の暇を与えず、
イエスかノーかも聞かず、そそくさと帰って行った。

なんなんだよ!!
いったい。どういうことだよ!!

 冗談だろ・・・。

だんだん、嫌な予感がしてきた。


坂井は一度言ったら考えは曲げないやつだ。

前は新人だといい、俺の家にかってに預けて1か月も居候させた。
 

人の許可もとらないで。

 





・・・それにしても自分の妹をあんな犬を預けるような扱いで。

 来るはずないと思っても、必ず妹が訪ねてくる。
考えたくないが、坂井とはそういう奴だ。

 

 まいったな・・・。

 

坂井の携帯は繋がらない。この状態で電源を切るとは・・・。


はぁ・・・、




とことん押しつけるつもりだ。






 時計の針が1時を過ぎた頃、丁度チャイムがなった。