コンコン。


コンコン。

いつからドアの叩く音がしていたのだろうか・・・。
俺はすぐには気付かなかった。




コンコン。

ようやく、その音に気付くと、俺はドアに目をやった。


「羽流?」
ドアの向こう側から、坂井の声がした。

部屋には鍵がかかっていない。

坂井はドアを開け、部屋に入ってきた。



俺の叫び声に驚いて、ドアをあけてしまったらしい。
そして、俺の涙を見て、すぐに駆け寄ってきた。

俺は落胆したままで、何も話さない。

「羽流、大丈夫?」

坂井は心配そうにこっちを見ている。

「病院から、連絡があって。
 看護師さんが、湯浅さんに説明したけど、上の空だったから。
 って心配してて。気になってきてみたの。」

「羽流。どうしたの?」

「・・・・。」

「俺、どうしたらいいのか、わからないんだ。
 凛が、凛がいなくなったら。
 
 そう考えると、目の前が真っ暗になる。
 突然、凛の死がリアルになってきて、
 

 ・・・怖い。
     


 彼女を失うのが、本当に怖いんだ。」


バシッ!!

坂井は俺の頬を叩いた。