「 羽琉さんへ。
2週間本当にありがとうございました。

こんな形でしか、別れを告げられない私を許してください。

貴方を初めて見た時から、一目で好きになってしまったあの日から、
私は本当に幸せでした。

そして2週間、私について何も聞かないでくれてありがとう。
何も話さないでごめんなさい。

実は私、咽頭癌という病に侵されています。

もう、一年前のことです。

その時私は19歳で余命を宣告されました。

 半年。これが私の命の期限です。

ですが、抗がん剤治療がうまくいき、
私は20歳の誕生日を迎えることができました。

ですが、年齢の若い私は、がん細胞も若く、癌に侵されるスピードも速く、
今の医学では止めることができないそうです。

20歳まで繋がった命も、もってあと半年だそうです。

 私の夢。
羽琉さんに聞かれた時、まだ決めてない、って言ったのですが、

私、歌手になりたかったんです。

母のように・・・。
でも、それも叶わないと思って諦めていました。
だから、言えなかった。

この病気は母からの遺伝なんです。母も、同じ咽頭癌で亡くなっています。
特殊な遺伝性の病気で、こんなに若く発症するのは、その中でも珍しいそうです。

でも私は、どこかでこうなることが分かっていたように感じるんです。
でも、諦めたくなかった。
音楽を、そして人を愛することも。

そんな時、羽琉さんが私に音楽への情熱、そして歌う場所を与えてくれました。

私の夢を叶えてくれた。そして、人を愛することを教えてくれた。

貴方を誰よりも何よりも愛しいと思った。


本当に幸せだった・・・。