俺はすぐに坂井にかけなおした。
もうすでに俺の悪い予感は最高潮に達し、諦めの気持ちさえ出ていた。


つ、つながらない・・・。

アイツ、電源を切りやがった!


俺は落胆し、携帯を耳から下げた。

坂井を追ったところで探し出せない。
きっと俺が追いかけてくることを想定して事務所にはいないし、
ましてやアイツは明日から海外だ。

面倒みてくれる女友達にも見当がつかなかった。


ここまでくると、俺が面倒を見る以外の道は残されていなかった。

「ふ~。」

深いため息をついた。

20といってもこんな綺麗な女の子と一緒なんて・・・。
まだ、ただのガキの方がよかった。

妙に、緊張する。

俺はしどろもどになりながら彼女に話しかけた。


「坂井が・・・、ああ、君の姉さんが2週間ここで住むようにって。
 電話、もう繋がらなくって。俺は構わないんだけど、君がね・・・、

 やっぱり気にするでしょ。
 でも俺、面倒みてくれる女友達、思いつかなくて・・・。」


自慢じゃないが、今まで付き合ってきた女は、全て一方的にふってロクな別れ方を
していなかったから、今さら頼める女は一人もいなかった。

大体、付き合って友達に戻れる事が俺には信じられない。



俺は昔を思い出し、自業自得の自分に開き直っていた。

すると、申し訳なさそうに彼女が口を開いた。
どうやら、俺が怒っていると勘違いしたらしい。


「あの、私、姉のマンションに戻ります。湯浅さんにご迷惑ですし・・・。
 色々すいませんでした。」


「いや、でも・・・。」

そうか、今回の事は坂井が一方的に俺に押し付けたんだから、
この子は何も悪くないよな。


むしろ、被害者だ。

成人していてもこんなに可愛いんじゃ坂井も不安になるわ。

最近あの周辺でストーカーが捕まったっていってたな。


・・・。

2週間か。まぁ、一緒に住めない長さでもないな。