「あの、姉の坂井裕子から湯浅さんを訪ねるように
 言われて来たのですけれど・・・。」

「えっ?」

!!!

おいおい・・・。


坂井の奴、20歳って言っただろう!!


その女性はどうみても23、4歳で俺が想像していた
妹の想像とはかけ離れた存在だった。

「坂井の妹さん?」

「はい。」

やっぱり・・・。嘘だろ?






”20にしては大人びてる。綺麗な女性。”

それが俺の第一印象だった。

品が良さそうで、物腰も柔らかかった。
世間一般がいう、典型的いい女。

俺の周りにはまずいないタイプだった。



「ああ、ちょっと待ってください。

 今、坂井に連絡とってみますから。
 と、とりあえず上がってください。」

俺は焦りながら部屋に上がってもらった。

何、どもってんだよ、
何、敬語使ってんだ?
思いっきり年下だぞ。

そんなことを自分自身に問いかけながら、
俺の心は彼女を目の前にして、内心ドキドキだった。


その証拠にコーヒーも出さないまま、
彼女をみることもできず、
すかさず坂井の携帯に電話をかけた。




震える手で2回かけ直した所でやっと坂井が電話にでた。



「はい、坂井です。」


「おい!!どうなってるんだよ。
 お前に来いって言われたって、妹が来てる。」

俺は気持ちの焦りを坂井に悟られないよう、
心を落ち着かせ、ゆっくりと話そうとした。




・・・だが、気持ちが焦れば焦るほど、
緊張が坂井に伝わっているような気がした。