――はぁ……いったい
どうしちまったんだオレは


どっと疲れた気がして、
知らず知らずのうちに
大きなため息がもれる。


と――…

つい最近、他にもこれと
同じような感覚を味わった
ことがあるな、と、爽介は
思い出した。


それは数日前……雫と
2人で話をしたとき。


改めて雫の想いを断った
自分に、雫が『亜莉紗の
ことが好きだからじゃないの?』
と聞いてきて。


自分はそれを『違う』と
否定した。

それだけを言うつもりだった。


でも、その後。


なぜだか、口をついて
出そうになった言葉――。


『でも――オレがホレると
したら、あいつかもしれない』。


かろうじて、その言葉は
ノドを通り過ぎる手前で
押しとどめたけれど。


あのときも、無意識のうちに
そんなことを言おうとして
いた自分に、自分自身で
驚いた――。



――あいつが絡むと……
なんか調子狂うな……。



夏メニューの一件をきっかけに、
あいつのセンスに興味を持った。