テーブルに突っ伏した姿勢の
まま……亜莉紗が動いていない。


――コイツ……まさかと
思うけど――。


自分の椅子に戻り、
テーブルにカップを置いて。

それから、物音をたてない
ようにそっと、突っ伏した
亜莉紗の顔を覗き込む……。


「――マジかよ

寝るかフツー、この数分で?」


――どんだけ疲れたんだよ。

つーか、それ以前に
オレんちだぞココ。

いい歳した女が、仮にも
オトコの部屋で寝入っちゃ
ヤバいだろ。
無防備にもほどが―――、


と、そこまで考えて。


爽介はハタと気づいて、
思わず硬直する。


――てかナニ考えてんだオレ。

これじゃまるで、オレが
その気があるみてーじゃねーか


自分の考えに自分でうろたえ――
爽介は右手で口元を押さえて、
亜莉紗から視線をそらした。


でも。


……目にしたばかりの亜莉紗の
寝顔が、もうしっかり頭に
焼きついて離れない。


手の甲に頬を乗せるように
して、長いまつげの瞳を閉じて。