爽介はあたしとは真逆の
リラックスしまくった態度で
(自分ちなんだし当然だけど)
鍵を開けると、先に中に
入っていく。


――デザインに集中、
デザインに集中……!!


呪文みたいに心の中で繰り
返して、あたしもその後に
続いた――…。



      ◇ ◇



「―――よし、んじゃ
ここらでちょっと休憩すっか」


そう声をかけると、亜莉紗は
ハーッと詰めていた息を
大きくはいて、そのまま
テーブルに突っ伏した。


「――あ、頭が疲れたぁ」


ついでに情けない声まで
あげている。

言葉通り、よっぽど疲れた
らしい。


亜莉紗が来てから、今で
ちょうど2時間ほど。


彼女は、どうやらすぐにでも
デザインの相談に入るのかと
思っていたようだが、
実際は、この2時間は完全な
『お勉強会』だった。


「てゆーかさぁ。こーゆー
ことから始めんなら、この
本とか貸しといてくれたら
よかったんじゃないの?

イキナリこんな詰め込まれ
たって頭に入んないわよ!」