――はぁ……。

自分らしくもない醜態に、
やっぱため息がとまんない。


でも――…。


こないだの爽介の母校で
過ごした夜以来、あたしは
もう、ぜんぜんダメだった。


爽介があたしに、魔法をかけて。


そしてあたしは――
気づいちゃったから。


その甘い魔法にかかった、
自分の『気持ち』に……。



爽介と一緒にいい作品を
デザインして、彼を本選
突破に導きたい。

その思いは、もちろん今も
変わってない。


でも――それとこれとは、
話が別。


あたしだって女だもん。

気にしないように自分に
言い聞かせたって、限界って
ものが……。


「はぁ。
こんな軽く家に誘える時点で、
向こうにはそんな気ないの
ハッキリしてんのに……」


「―――あ? なんか言った?」


「なっ、なんでもないわよ!」


あぁ、このデリカシーの
無さがニクいっ!!


けど、そんなことを考えてる
うちに、気づけばもう爽介の
部屋の前。